カミングアウト 体験談 連載

自分を肯定できるようになったまで(留学後編)

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撮影者: Leon

彼女と会うのはいつも夜だった。

帰国も3ヶ月に差し迫った頃、寮のダイニングに降りると日焼けの肌にホリスターのTシャツが良く似合うアジア系のお姉さんがいた。

誰かが友達を連れてきたのかと思って見ていると、私と同じ階に住む友達(彼もまたAセクシャルだった)といっしょに私の方に向かってきて、カップケーキを手渡してくれるのでお礼を言うと無愛想に「ワタシはリリーデス。」と片言の日本語で話しかけてきた。

これがリリーとの出会いだった。リリーはそれから毎夜のように私の寮に遊びに来るので私もいつの間にか仲良くなった。
リリーはボディータッチが激しくて会ったらまず飛びつき気味にきつめのハグをし、普通に顔面に触ってくるので私は毎日たじろいでいた。彼女は私と違って人懐っこくて、言語の話になると理論派で(英語のほか4ヶ国語に堪能だった)セクシーだった。
リリーは大学の近所の出身なのに実家を出て部屋を借りていて、よく実家に帰ってママお手製の料理を持ってきたりするのになぜルームシェアをしているのかを聞くといつも話を濁らせた。
そしてある日のビールパーティーの途中で彼女はmy ex-girlfriend was really like~と、彼女がいたことをサラッと言った。思わず聞き返すと彼女は8割女性、2割男性を好きになる、というかパンセクシャルであることをオープンにしていると言った。セクマイの私が初めてセクマイ当事者と友達になり、また好きになっていた。
私はどんなguyが好きなのかと聞かれたのでこっそりとバイだと明かした。好みは女が多いのか、アジアンか白人か、など根掘り葉掘り、しれっとした態度で聞かれて世界の愛の形とは、何が普通なのかについて考えた。

次の週の深夜、寮のメンバーでリリーの運転でクラブに行き、ビールを飲み、流れるレゲエに合わせて踊った。リリーはダンスもビリヤードも上手でかっこよかった。他の男たちが彼女をずっと見ていた嫉妬もあって、リリーをもっと好きになった。寮で飲み直すと彼女は酔いが醒めるまで仮眠をすると言って私の部屋で横になった、私は深夜に好きな女の人と2人で同じベッドに寝ていた。
リリーは急に意識をはっきりさせて、小さい頃から女の子が好きだったことを大学生になって親に打ち明けて、難民としてアメリカに来た親は保守的で受け入れて貰えず勘当されたこと、学費が払えず休学して働き続けたこと、女の人と2年付き合った日々、親が自分の元に来たがもう一緒には住めないことを私の手を握りながら話した。もっと好きになった。しかし彼女は元カレとやり直したばかりだった。目の前が真っ暗になって、明け方になると彼女は眠る私にハグして帰っていった。

私はしばらくリリーのことしか考えていなかった。そして、やっぱり元カレとはうまくいかなかったと言うのである夜、私はリリーの車で寮に帰る途中、自分のものになりきれていない言語で告白した。彼女は私のことは勇気があって可愛いと思う、しかしいま誰かを好きになれるかわからないと言って保留になった。

結局、振られた。リリーはあと1月で私に残される立場になるし、研究に没頭したいと言っていた。しかしリリーを好きになったことで、もし付き合えて将来うまくいったら結婚できること、養子を迎えて2人で普通の家庭を持てることも現実になるとイメージができ、自分の人生から孤独を拭い取る選択肢ができたと思った。
察し取れるように、私はまたいつか彼女の居る土地に戻って来れたらと思っている。

こうして私はたくさんの女の人たちに生きる希望と、その先のための勇気をもらって強く生きている。

About the author

Leon

Leon

大学で政治学を勉強しています。
留学を経てセクシュアルマイノリティとしての自分を受け入れられるようになりました。私の記事を通して自分のセクシュアリティに気づくきっかけや、セクシュアルマイノリティの中の1人の考えに触れてみる機会を提供できたら幸いです。

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