体験談 考えごと

雑感──学校での小さな出来事と、セクマイとして自覚していることについて(和訳)

雜感──關於學校小事與身為性少數
撮影者: しゃーじゅー

日本に留学に来た最初のころ、これからは自分の性的指向について、周りのことを気にせず、何も隠さずにいられるようになったと、僕はずっと思い込んでいた。なぜなら、すべての心配は(台湾での)濃厚すぎる人間関係によるもので、その関係からさえ離れられたら、もう自分を束縛するものはどこにもないと思っていたからだ。しかし、振り返ってみれば、想像したほどには、たとえその心配から離れたとしても、淡々と自身の性的指向に向き合うことは簡単ではないのだということに気づいた。

そのことを気づかされた一番近い出来事は、先週のゼミのことだ。それは英字新聞を読んで話し合うような授業だった。その日先生が選んだのは「トランスジェンダーの就職難と、そのために、カリフォルニア州飲食業界が協同して、仕事を提供するプロジェクトについて」の内容だった。うちの大学のなんとなく感じられる保守的な雰囲気と、経済学部の先生へのステレオタイプのため、最初はその先生のジェンダー理解にまったくと言っていいほど僕は期待していなかったけれど、まさか先生がこういう記事を選ぶなんてと僕は若干びっくりしつつ感心した。僕の感心を先生も裏切らずに、その記事の内容以外にも、セクマイ関連のこととして、去年うちの大学で発生した自殺事件にも少し触れ、死者を悼む気持ちを示したのだ。

それでも気になるところがあって──細かいことに思われるかもしれないが──先生がトランスジェンダーについて説明するときに使ったいくつかの言葉に、僕は少し違和感を覚えた。たとえば、記事でのトランスジェンダーの女性についていう時に、先生は「実は男性・もともとは男性」や「手術したあとトランスジェンダーになった」などの表現を使った。

僕がフェイスブックでフォローしている、あるトランスジェンダーの女性がかつてこういうことを言った。「間違ったジェンダーで人を呼ぶことはセクハラにほかならない」と。それはつまり、トランスジェンダーの方のジェンダーについて言う時、本人の性自認を尊重すべきだ、ということだ。上の例で言うと、「実は男性・もともとは男性」という言い方は本人の女性性自認を尊重していないと言えるだろう──決して難解な概念ではないが、固定観念にとらわれた人にはなかなか気づきにくい。僕自身もセクマイでありながら、もし彼女の上の言葉を知らなかったら、おそらくセクマイの中のマイノリティの気持ちをずっと知らないままでいたのだろう。

話が少しそれてしまったが、先生の言葉に違和感を覚えたその時、先生にすごく伝えたかったが、いろいろ考えた結果、やはり何も言えなかった。せっかくセクマイのことにすこし理解のある人が、僕がいろいろ言うことで、(関心のない人にとって)細かいことばかりで非難された気持ちになり、逆にセクマイ関連のことに嫌悪感を持ち始めると、意味がなくなる。そして、同じ授業を受けている何人かの前で直接それを伝える勇気がない──みんなの前で先生を困らせるのを避けたいのは確かにあったが、セクマイであることを彼らに怪しまれるのではないかという心配もないことはない。

疑われないように使える理由はいくらでもあるだろう、「『ジェンダーと社会』という授業で習ったからそれぐらいはわかる」とか。とはいえ、その時の不安が何よりも前に先行し(何といっても表では誰も寛容なふうに言うけど、実際にはうちの大学のような事件も発生するから)、授業が終わるまで僕はずっと口を噤んでいた。

今考えると、その不安は、今日の日本、あるいは台湾の社会がフレンドリーであるかどうかとは違う話かもしれない。僕と、僕と同じような人々はその恐怖感を長い間を通して、あたかも反射運動であるかのように覚えてきたから、それほど簡単に変えられることではないはずだ。恐怖感は、小さい頃から浴びせられてきた「死人妖(日本語の「オカマ」に近い中国語表現)」との罵声や暴力、または大学のルームメイトの何気なく言った「それでもゲイが隣にいるのは無理だ(俺は寛容だけど、みたいな前置きを付けたり付けなかったり)」という言葉など、このような十何年の蓄積からなるものだ。

そのような恐怖感から未だに脱却しきれない僕だが、このフレンドリーになりつつある社会で、過去の自分と同じように苦しんでいる、または僕よりもマイノリティでより弱い立場にいる人々のために、僕が日常生活で周りに発信して、少しでも周りのセクマイの人への理解が深まるように、暮らしやすい世界にできればいいなと僕は願う。もう誰もこのような恐怖や不安を覚えることがありませんように、と。

今回は、サークルの先輩のホームページを借りて、この知識量と論理にやや欠けた稚拙な記事を発表させていただきました。中の考え方はあくまでも僕自身の経験に基づいたものであり、文化差により、日本のセクマイ事情の文脈に必ずしも適合しているとは限らないことを、ご了承のうえ、ご意見をいただければ幸いです。

About the author

しゃーじゅー

しゃーじゅー

東京在住三年目の台湾人留学生です。
趣味は語学ですが、浅く広くの感じなので少し使えるようになったのは英語と日本語だけ。
(2016年現在)

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